大村幸太郎　小紋（蝋吹雪/蒸栗色）大村幸太郎『着物・呉服えり新』

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大村幸太郎　小紋（蝋吹雪/蒸栗色）

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離れたところからご覧いただくと、小紋ではなく色無地に映るでしょう。
２ｍ、１ｍと少しずつ近づくにつれ、二色のお着物なのだなとお分かりいただける小紋。
細かな蝋の景色が見事な大村幸太郎氏の作品、蝋（ロウ）吹雪の小紋をご紹介いたします。

まずお着物を淡黄色に引き染めし、染め上がった反物全面に蝋を吹雪のように散らします。
散らした上に、更にベージュ色”白橡色”を重ねて染め上げる事により、水元を経ると、防染された蝋の部分の淡黄色がちらちらとまるで吹雪にように現れる。
蝋吹雪文様はこのような製作工程を経て染め上がるのです。

二色が互いに影響を与えあう染め色の深さや奥行きに、ちらちらと見え隠れする蝋吹雪の上品さ。
撒き糊のようにはっきりそれと分かるものではなく、曖昧な境界から得られる美しさがございますね。

全体で拝見すると蒸栗色が最も近しいお色ですが、光線の加減によっては淡黄色に、もしくは緑味をより感じるお色へと映ります。
帯や小物の合わせ方によっても変化いたしますから、コーディネートも楽しみです。

無地に近いスタンスの小紋として、もしくは色無地としてご紋を入れてのご着用もお勧めです。

染めの美しさに、白生地の小さな菱格子地紋の照り感も加わり、一見無難、でもとっても素敵！なお着物が染め上がりました。

作家名の落款はあえて入れていないとのこと。
今はともすれば作家名に頼りがちですが、本来、目利きにより成立していた友禅の世界だったのです。
画面越しにはこの質感は伝わり難く、是非お手元でご覧下さい。

▲ 細かい菱地紋の生地に染められています。

▲ コーディネート例の詳細は、こちらをご覧ください。